もう十年以上も前になります。

サークルで仲良く学んでいた方が病気になられました。
毎日毎日、痛みに苦しんでいました。

病院に一緒に行ったり、話を聞いたりしていましたが
そのうち連絡がなくなりました。
私にはなんの手助けも出来ないから仕方がないと
こちらからは連絡をしませんでした。

ある時、普段出会わない場所で、ある知り合いの方にお会いしました。
その時に、その彼女が手術後容態が悪化して意識がないことを知らせてくれました。
そして、彼女が私のことをその方に話していてくれたことも聞きました。

彼女は私のことを忘れてはいなかったのです。
元気になって私に会おうとしていたと思います。

夫にチケットの手配を頼み、すぐに飛行機に乗りました。
暗い地下鉄を不安な気持ちで病院に向かいました。
この暗い電車で重たい荷物を持って入院先の病院に向かったのだと
想像するだけでさらに胸が苦しくなりました。

病院に着いて病室のドアを開けた時
彼女には表情もなく
取り付けられた機械がただ動いていました。

娘さん達にもご主人にも
なんの言葉もかけることができずに病院を出ました。

最後に彼女と会った時
病院で彼女を見た時
私は何かを彼女に伝えたかったのです。
けれど言葉が見つかりませんでした。

あの時、知らせてくれた方と
あの場所で出会うことはありえない事でした。
出会うはずのない方と
出会うはずのない場所で
彼女の手術直後にその方と出会ったのです。
こんなことがあるのか。と今でも不思議に思います。

病に苦しんでいる彼女に何か出来たことがあったのではないか。

いつもいつも考えます。
その気持ちが今の私を動かしているとも言えます。

私が彼女の世界に入って
いつか彼女に会った時
どんな言葉が私の口から出るのでしょう。
それはその時にならないとわかりません。

そして彼女は私になんと言うのでしょう。