幾つになっても

うれしくて泣いてしまうことってあるのですね。

うれし涙

 

昔、随分お世話になった方のお葬式に行きました。

 

事情があり長いことお会いすることができませんでした。

 

高齢で施設におられたということで、知り合いもそれほどおられず

会場でなく家族葬で見送られておられました。

 

ホッとするほど柔かなお顔でした。

 

ふと振り向くとそこに私の知っているその方が私に微笑んでおられました。

 

そのかたの娘さんです。

 

『よく、遠いところきてくださいました』と、声をかけられて

私は、泣き出してしまったのです。

 

まさか、生きているこの方に会い、話ができるなどと想像もしていなかったのです。

 

声を出して泣く私に

『そんなに泣かないで』と肩に手をかけられた

その手も

その声も

その仕草も

その方と全く同じなのです。

 

その方が亡くなったことよりも

その方に会えたことが嬉しくて

お詫びを言えたことが嬉しくて

涙が止まらなかったのです。

 

 

 

ご恩返しもしないまま

赤の他人の私を

本当に可愛がってくれました。

 

そして、何もご恩返しができずに時間だけが経ちました。

 

それなのに、私はまたその方に会って慰めてもらえたのです。

 

『歳をとって、”母に瓜二つね。”と、言われるようになったの。』

少し恥ずかしそうにそう話される娘さん。

 

その方へ最後のお別れをしにここへ来たけれど

もしかすると最後ではないかもしれない。

 

また、ご恩返しができる機会を得たのかもしれない。

そう感じながら笑顔で別れを告げました。

 

 

 

 

恩送り

恩は、めぐみ、いつくしみです。

恩返しをしたくてもできない時、

恩送りがあります。

ご恩をお返ししたくてもできない時

全く違った相手に受けた恩を送ることを言います。

 

私は未熟さゆえ、恩を返す時期を逃してしまいました。

『あなたのことは1日も忘れたことはありません。』と言っても

その声はもうその方には届かないのです。

 

きっとこのことはその方の優しさで

私に思いを残させないようにこの機会をくださったのだと思います。

本当に何から何までお世話ばかり焼かせてしまいます。

 

このいただいた機会をどうしても今回

逃すことはできません。

 

うれし涙を流したこの日

これからご恩を受けた時

何は無くとも、まず、ご恩返しをすることを第一にしようと決意しました。